メニエール病について



回転性めまいや難聴を伴う「メニエール病」、その症状やその治療法とは?

メニエール病の概要を知る!

メニエール病は、本態的には、内耳の内リンパ水腫で、内耳の疾患です。
この内リンパ水腫がメニエール病としての具体的な症状を身体にもたらします。
典型的な症状としては、回転性めまいや耳鳴り、難聴が挙げられます。
難聴の場合、特に低音域の音に対する難聴が顕著です。

メニエール病の診察期間は耳鼻咽喉科となります。
人口あたりの疾患率は調査機関により差があるものの、概ね10万人に対し15人程度の割合(約0.015%)で、極端な罹患率の差がある訳ではないものの、女性の方が発症しやすいと言われています。

メニエール病の具体的な症状とは?

メニエール病の症状が発生するプロセスのはじめとして、内耳に正常に存在している液体の量が過剰になることが考えられています。

耳の中の液体は、内リンパのうという小袋のような構造の中に入っており、この液体は分泌と再吸収が絶えず行われていて、本来は一定量に保たれています。


内耳の液体の分泌量が増えるか再吸収量が減るかで、量が過剰になり、結果的に内リンパ水腫(メニエール病の本態)に繋がると考えられています。

分泌量や再吸収量が変化する医学的なメカニズムについては未だはっきりと分かっておらず、厚生労働省の特定疾患に指定されています。

このようにメカニズムが分かっていないことから、メニエール病の症状は発作的に発病し、内耳の液体量が過剰になった結果として、回転性めまいを始めとする諸症状が顕れます。

メニエール病の典型的な初期症状はこの回転性めまいです。

典型的なメニエール病の発作では、視界がグルグル回る強い回転性めまいが主症状として顕れ、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。

通常のめまいであれば数十秒で収まる場合がほとんどですが、メニエール病による目まいは内耳の疾患から来ているため、それが長い時間続きます。

また、あくまで内耳の疾患であるため、通常の目まいの原因となる脳神経系に影響があるわけではなく、めまいを感覚する脳神経系にダメージがない以上、意識ははっきりとしており、より長い時間めまいを感覚するという状況に陥ります。

以上の初期症状のあとには、難聴や耳鳴り、平衡感覚の乱れなどが生じる場合がほとんどです。
数十秒~数分でめまいが収まらない場合は、メニエール病の可能性がありますし、何より通常の疾患ではないことが予想されます。

メニエール病はどうやって判明する?

メニエール病の初期症状として発生する回転性めまいは、甲状腺機能異常や外リンパろう、内耳炎や脳腫瘍といった病気においても似たような症状として現れる場合があります。

ですから、自己診断や症状から単純に類推することは難しく、医療機関による検査が必要です。

めまい自体は単なる貧血などでもたらされる場合もありますが、大きな疾病の兆候である場合も多く、メニエール病に限らず速やかな医療機関への受信が望まれます。

メニエール病の特徴的な症状として、「低音に対する難聴」がみられます。

これを詳しく診断するには、耳鼻咽喉科による純音聴力検査が必要です。
また、メニエール病の本態は内リンパ水腫であるので、グリセロールテストやフロセミドテスト、または蝸電図で内リンパ水腫の存在を推定することも診断材料になります。

さらに、眼振検査や平衡機能検査やカロリックテストなどで内耳障害の所見を確認し、ABLBテスト、SISIテスト等で聴覚補充現象を確認します。

他の疾病との混同を防ぐために、頭部のMRIやCT、頚部のレントゲン、あるいは血液検査などの直接内耳には関係ない諸検査も行われる場合があり、メニエール病の診断には多くの検査が必要なことがわかります。

メニエール病の治療はどのように行う?

メニエール病と診断された場合、その後の治療は大きく3つのパターンに分けられます。

①メニエール病の発作を予防するための投薬治療、食事制限

②メニエール病の症状を緩和するための投薬治療

③内耳の構造に直接働きかける治療(投薬・手術)

①の場合、その強い浸透圧による脱水力で内リンパ水腫を軽減させるイソソルビドなどの利尿剤が用いられるケースが多いようです。また、内耳の血液循環改善薬が使われることもあります。

炎症を抑えるためのステロイド剤や、ビタミンB12製剤も併用されます。

②の場合、発作時にはひどく吐き気や嘔吐を伴うので、内服薬を投与することは難しく、注射薬での対応がメジャーです。
主に炭酸水素ナトリウム注射液やグリセロール、制吐剤などが点滴されます。

症状が重篤化してきた場合、③のように具体的に内耳の構造に働きかける治療が行われます。
内リンパのう開放術や前庭神経切断術などの手術などが一例です。
目まいの対処として、鼓室内へ抗生物質を注入し、平衡感覚をつかさどる前庭細胞の変性を図る治療もあります。

メニエール病を予防することはできる?

メニエール病の発作を予防するための治療については前節で述べましたが、メニエール病に罹患すること自体を予防すること、発症のメカニズムが詳しく分かっていないため難しい現状です。

メニエール病に関するまとめ

メニエール病は病気が完成してしまうと寛解は難しいため、何より早期治療が必要な疾患です。
また、国の特定疾患に指定されているように予後の対応も長くなるため、医療機関においての確実な治療の継続が求められます。

上にも書きましたが、初期症状として回転性のめまいが明らかです。
めまい自体を軽いものと考えず、思い当たる明確な原因がある場合であっても、必ず医療機関を受診するようにしましょう。