睡眠時無呼吸症候群について


知らずのうちになっている?「睡眠時無呼吸症候群」その原因や症状とは?

<睡眠時無呼吸症候群の概要を知る!>

睡眠時無呼吸症候群とは、簡単に言うと眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。
英名の頭文字を取ってSAS(サス)と呼ばれる場合もあります。

疾患に起因する様々な症状が発生しますが、寝ている間のことなので明確に自覚できないのが一つの特徴です。

医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸と定義し、その無呼吸が睡眠中(7時間)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上ある状態を、睡眠時無呼吸としています。

日本でも200万人以上の患者がいると言われていますが、睡眠中のの無呼吸に当事者である私達はなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がそれ以上にいると推計されています。

 <睡眠時無呼吸症候群の原因とは?>

睡眠時無呼吸症候群の症状は、上に挙げたように無呼吸状態が睡眠中に頻発する状態を示します。
これによって、日常生活に様々な影響が出たり、より重篤な疾患につながるリスクが高まると言えるでしょう。


睡眠時無呼吸症候群の根本的な原因は大きく分けて2つです。

①上気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)

これは、空気の通り道である上気道に、その空気が通る十分なスペースがなくなり呼吸が止まってしまうタイプです。

睡眠時無呼吸症候群の患者の約9割が、この閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)に該当します。

上気道のスペースが狭くなる要因としては、首・喉まわりに脂肪が沈着したり、扁桃が肥大するケースが主です。
他にも、舌根(舌の付け根)、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋(口腔上壁後方の軟らかい部分)の肥大等による喉・上気道の狭窄(=狭くなること)が挙げられます。

②呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA

睡眠時無呼吸症候群の中でもこのタイプは数%程度で、脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常が原因のパターンです。

肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経には異常がないのに、脳からの呼吸指令が出ないことにより無呼吸が生じます。
OSAの場合と異なり気道は開存したままです。

OSAの場合は気道が狭くなって呼吸がしにくくなるため一生懸命呼吸しようと身体が作用しますが、CSAの場合はあくまで脳の指令が無いため、呼吸しようという作用自体が生まれません。
このCSAに陥るメカニズムは様々個人差がありますが、心臓の機能が低下した方などによく見られるケースであります。

 <睡眠時無呼吸症候群になると、どのような症状があらわれる?>

睡眠は日中活動した脳と身体を十分に休息させるものですが、睡眠時無呼吸症候群になると、その最中に呼吸停止が繰り返され、身体の中の酸素が現象します。

その酸素不足を補おうと、身体は心拍数を上げることになり、睡眠中の本人は気付いていなくても、寝ている間中脳や身体には大きな負担が掛かっている状態になります。

その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。

その具体的な症状を、3つのフェーズ別に列挙していきます。

①睡眠時……いびき、いびきの間に断絶的に大きな呼吸がある、呼吸の乱れ、むせる、心拍数の上昇による極端な寝汗 など

②起床時……身体の重さ、倦怠感、口の渇き、頭痛、寝た気がしない など

③日中活動時……強い眠気、疲労感、集中力の欠如 など

これらの症状が蓄積すると、高血圧や心臓病、糖尿病や脳卒中などの重大疾患のリスクを高める結果になり、危険な病気と言えるでしょう。

<睡眠時無呼吸症候群の診断や治療はどのように行う?>

睡眠にまつわる疾患ということもあり、正常な状態との差がわかるようであれば自己診断できるケースもありますし、セルフチェックが可能な病気ではあります。


医療機関においての睡眠時無呼吸症候群の診断は、まずは問診から始まります。
問診で睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われた場合には、自宅などで行う簡易検査と、医療機関に宿泊して精密検査を行うパターンに分かれます。

簡易検査の場合、手の指や鼻の下にセンサーをつけ、いびきや呼吸の状態から睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を調べます。

多くの場合は、まずこの簡易検査から行ないます。
主に、酸素飽和度を調べる検査(パルスオキシメトリー)と、気流やいびき音から気道の狭窄や呼吸状態を調べる検査の2つが用いられます。

精密検査では、医療機関に宿泊して、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査と呼ばれる睡眠と呼吸の状態を詳細に調べる検査が行われます。
これらの検査により、睡眠時無呼吸症候群の診断が可能です。

<睡眠時無呼吸症候群の治療法は?>

 国内における睡眠時無呼吸症候群では、CPAP療法と呼ばれる治療法が一般的になってきています。
これは、寝ている間の無呼吸を防ぐために、気道に空気を送り続けて気道を開存させておく治療法です。

CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が睡眠中に送り込まれる治療法で、睡眠時無呼吸症候群における上気道の閉塞に作用します。

 

 他にも、睡眠時無呼吸症候群の原因がアデノイドや扁桃肥大の場合は、外科的手術を行う場合があります。
また、マウスピースによる治療も行われますが、睡眠時無呼吸症候群の程度によっては効果が薄い場合もあり、現在ではCPAP療法が中心です。

  

 <睡眠時無呼吸症候群に関するまとめ>

睡眠時無呼吸症候群は、男性の罹患率が高い病気です。
また、タバコやお酒、肥満といった生活習慣が間接的な原因となるため、加齢とともに顕れる側面もあります。

症状自体は、睡眠に関するものですが、これが悪化すると様々な重大疾患のリスクを高めることになりますので、列挙した具体的な症状(①睡眠時 ②起床時 ③日中活動時)に当てはまる事例が多いと感じた場合は、一度専門医を受診することを勧めます。