単なる手荒れではない場合もある――?種類が多い手湿疹の症状について解説!

手湿疹とは?その概要を知る

手湿疹とはその名の通り手にできる湿疹のことではありますが、医学的に手湿疹と分類される症状は多岐に渡ります。

また、一見して手湿疹に見えるような症状でも、実際には違うという場合もあります。

現在、医学的な分類で手湿疹というと、主に主婦湿疹・進行性指掌角皮症を指すことが多いです。

水仕事を頻繁に行う人によく発症する症状であるため、主婦湿疹と呼ばれています。

ただ、手にできる湿疹という広い意味で捉えた場合、慢性湿疹・異汗性湿疹、アレルギー性接触皮膚炎などの湿疹も含まれます。

今回はそれぞれの症状について解説するとともに、治療法や対策をご紹介します。

<主婦湿疹・進行性指掌角皮症とはどのような手湿疹?>

初期症状としては、一般的な「手荒れ」の症状です。

指先や指の腹、手のひらや甲が赤みをおびて乾燥します。

その後、角質が皮膚からはがれ落ちる鱗屑・落屑といった症状がみられます。

この症状が進行すると、指腹がひび割れて痛んだり、皮膚がうすくなって指紋が消えたりします。

指紋が消えるレベルまで症状が進行した場合、進行性指掌角皮症となります。

この症状にはかゆみを伴わないのが特徴です。

逆に、かゆみを伴うのが主婦湿疹です。

手荒れが進行した時に、赤みを帯びた丘疹(きゅうしん)と呼ばれる皮膚の盛り上がりが手指に発生する湿疹です。

これらの手荒れからくる湿疹の間接的な原因は、主婦湿疹という名前からも連想できるように、水仕事を多く行うことだと考えられています。

主婦や調理師、理容師、美容師など水仕事を頻繁に行う人に症状がみられます。

通常は皮脂の分泌によってできる皮脂膜が皮膚を保護していますが、頻回の手洗いや洗剤の使用などにより皮脂が失われ、皮膚のバリア機能が弱まります。

さらに、手荒れの進行によって露出した皮膚への機械的・化学的な刺激が加わり、湿疹の症状が起こると考えられています。

アトピー体質の人は、皮膚が乾燥するためこれらの症状が出やすい傾向にあります。

問診や検診で診断が可能ですが、アレルギー性接触皮膚炎と区別するためにパッチテストを行って診断を確定させる場合があります。

治療については、手荒れの段階であればハンドクリームで皮膚を保護したり、水仕事の際はゴム手袋を着用するなどの対応で症状の緩和が可能です。皮膚には再生サイクルがあるため、正常な状態に戻るまで適切な保護ができていれば、特段の治療は必要ない場合が通常です。

しかし、既に症状が進行して進行性指掌角皮症になっていたり、かゆみのひどい主婦湿疹の症状を示している場合は、ステロイド外用薬を塗布し、抗ヒスタミン薬を内服することで治療を行います。

慢性湿疹とはどのような手湿疹?

手にできる湿疹という広義の手湿疹の一つです。

手の特定の部分の皮膚のかゆみが非常に強く、かいてしまうことにより皮膚が赤くなり、無意識的にそのプロセスを繰り返すことにより、皮膚が厚くなってしまいます。

手の他の部分は正常皮膚と変りませんが、症状は長く続きます。

寝ているうちにかいてしまうということも多く、不眠との関連も言及されています。

治療法としては、ステロイド外用薬の塗布を継続して行ったり、睡眠導入剤などを利用して睡眠時無意識的にかいてしまうことを防いだりと言った方法があります。

異汗性湿疹(汗疱)とはどのような手湿疹?

手にできる湿疹という広義の手湿疹の一つです。

指の腹や指の側縁・指背、てのひら一体に小水疱(しょうすいほう)が突然多発します。かゆみを伴う場合があり、小さな水ぶくれが帯状に顕れるような状態です。時間の経過とともに、その水疱が破れて鱗屑となります。

これを小水疱型の異汗性湿疹と言います。

指先の皮や角質が剥けてしまうような症状のタイプもあり、これを乾性落屑型の異汗性湿疹と言います。

このタイプはかゆみがない場合がほとんどです。

発症時期としては気温が上がり始める初夏に多く、1ヶ月程度で自然軽快しますが、年ごとに繰り返します。

原因は不明で、汗腺に手汗の貯留される点が影響しているという説もありますが、全く関係ないとする説もあり、詳しいメカニズムはわかっていません。

アレルギー性接触皮膚炎とはどのような手湿疹?

アレルギー性接触皮膚炎の症状が手に顕れる場合があります。

何らかの物質が皮膚に接触し、それが刺激やアレルギー反応となってかゆみを伴う湿疹が出ます。俗にかぶれとも呼ばれ、接触した部分の皮膚に赤い斑点(紅斑)が現れ、症状が重篤な場合は腫れ上がったり小水疱が顕れます。

アレルギーの原因としては、身の回りにある全ての物質が該当します。金属、植物、動物など多岐にわたります。

治療法としてはアレルギー物質を遠ざけるのが大前提となり、ステロイド外用薬を塗布することで症状の改善を図ります。

手湿疹に関するまとめ

以上、手湿疹に該当する症状についてそれぞれ解説しました。

これら症状の診断は、アレルギー性接触皮膚炎を除いては、基本的には問診と検診で行われます。

皮膚科医のような専門家でなければわからないことも多く、自己診断で単なる手荒れや汗疹(あせも)と判断してしまうことを避けるため、皮膚の異常が続くようであれば速やかに医療機関を受診しましょう。