原因によっては重篤化の可能性も――?意外と怖い膀胱炎について解説!

膀胱炎とは?その概要を知る

膀胱炎という病名は比較的メジャーなものかと思いますが、この場合に言われている膀胱炎は急性(単純性)膀胱炎のことを指す場合がほとんどです。膀胱炎には外にも、複雑性膀胱炎、出血性膀胱炎、間質性膀胱炎といった種類があります。

メジャーな意味で使われる膀胱炎=急性膀胱炎のことであり、急性膀胱炎の症状について簡単に説明します。

急性膀胱炎は、膀胱の中で細菌(主に大腸菌)が繁殖し、膀胱の粘膜に炎症を起こす病気です。

また、男性に比べて女性の罹患率が圧倒的に高い病気です。

女性の方が尿道が短く、細菌が膀胱まで簡単に到達するというのがその理由です。

通常、尿とともに細菌は膀胱の外へ洗い出されますが、尿を我慢したり、体調が悪かったりすると膀胱の中で細菌が繁殖して膀胱炎を引き起こします。

膀胱炎の原因や症状、治療法をその種類別に解説!

すべての膀胱炎に共通する事項として、膀胱炎の診断は主に尿検査で行われます。白血球や細菌の数を調べ診断を行います。

1.急性(単純性)膀胱炎

急性膀胱炎の原因と症状については前節で述べたとおりです。

急性膀胱炎の治療法としては、抗生剤の投薬治療がメインになります。

一つの抗生剤で膀胱内の殺菌に作用するのがベストではありますが、昨今では薬剤耐性菌も増えているため、効果が不十分な場合は抗生剤の種類を変えます。

抗生剤が作用して尿検査の結果も改善しているにも関わらず、急性膀胱炎の症状が続く場合は、猪苓湯や五淋散など、漢方が処方される場合もあります。

また、治療中は十分な水分摂取を指示される場合がほとんどです。これは、排尿によって細菌を体外へ排出する回数を十分に確保するために行われます。

2.複雑性膀胱炎

単なる急性(単純性)膀胱炎とは異なり、主に尿に細菌が常在しているような状態の膀胱炎を言います。

その細菌が常在する原因は膀胱炎と異なる疾患にある場合がほとんどです。

尿管結石、前立腺肥大症、糖尿病、膠原病、がん等の病気に罹患していたり、ステロイドや抗がん剤を投与中で免疫力が低下していたり、前立腺肥大等で尿道に管を入れる治療中の方に発生しやすい膀胱炎です。

尿に菌が常在している場合であっても、痛みなど具体的な症状を伴わない段階では、その膀胱炎に対する治療よりも根底にある他の疾患の治療を優先しますが、症状が悪化すると腎盂腎炎や敗血症といった危険な症状に至る場合もあるため、原因となる疾患の治療と並行して膀胱炎の治療も必要になってきます。

治療方法としては急性膀胱炎と同様に抗生剤の投薬治療がメインですが、原因となる他の疾患の治療が完了すると膀胱炎の症状が消える場合もあるので、横断的な治療が求められます。

3.出血性膀胱炎

尿に細菌が無いのにも関わらず、血尿を起こしてしまう膀胱炎です。その原因はウイルス、アレルギー、がん、薬の副作用、放射線治療の合併症など多岐に渡ります。

血尿以外にも排尿痛や残尿感、頻尿等の症状を伴います。血液の塊が尿道を塞いでしまうと危険なため、尿道に管を入れての膀胱の洗浄、硝酸銀やミョウバンの注入といった外科的な処置をして出血を止めます。症状によっては手術が必要になることもあります。

4.間質性膀胱炎

膀胱の内側の粘膜の防御機構が破綻し、尿が膀胱の壁に浸み込んで炎症が続く膀胱炎で、患者の9割が女性です。他の膀胱炎と違い、尿が貯まってくると痛みが出て、排尿すると痛みが軽くなります。

他の膀胱炎と異なり、明確な原因が今の所わかっておらず、細菌性の疾患でもないため、症状を緩和するために抗アレルギー薬などが使われる場合を除き、効果的な投薬治療はありません。他の治療法としては、膀胱水圧拡張術や潰瘍焼灼術といった治療で症状が改善する場合があります。ただ、これらの治療法は行える病院の数がそれほど多くないのが現状です。

膀胱炎は予防できる?

一般に膀胱炎と呼ばれる急性(単純性)膀胱炎に限っては、その発症をある程度予防することが可能です。

その予防手段をいくつか列挙します。

1.水分を多めに摂取する

尿とともに膀胱内の細菌は排出されるので、ある程度尿の回数を確保することが重要です。

2.尿を我慢しない

尿を我慢していると膀胱内で細菌が繁殖しやすくなるので、我慢せず排出することが必要です。

3.排尿・排便後の拭き方に注意し、前から後ろに拭く

4.膀胱炎を繰り返しやすい人はウォッシュレットの使用を控える

この2点は特に女性に関しての予防法ですが、排尿時に誤った拭き方をしたり、ウォッシュレットの過剰な利用は細菌を膀胱内に押し込んでしまう可能性があります。

膀胱炎に関するまとめ

膀胱炎について、それが急性(単純性)膀胱炎の場合、それほど危険性のない疾患ではありますが、重篤化すると敗血症のような疾患に繋がる場合もあります。

間質性膀胱炎の場合は、治療法が明確でなかったり治療できる医療機関の数がそう多くないことから、その治療に時間を要します。

尿まわり(主に排尿時)に違和感や痛みがあった場合は、すぐに最寄りの泌尿器科で適切な診断を受けるようにしましょう。