原因不明が7割――?意外と知られていない蕁麻疹の症状について解説!

 

<蕁麻疹とは?その概要を知る>

蕁麻疹は皮膚の角層(表面)に生じる皮膚疾患ではなく、角層の一番下にある表皮で生じる皮膚疾患です。

皮膚の表面には角層(表皮の最外層)があり、外部の刺激物などの侵入から守る役目を果たしています。

その角層の下に表皮と真皮がありますが、真皮には蕁麻疹の原因となるヒスタミンなどを蓄えているマスト細胞が存在します。

このマスト細胞が何らかの刺激を受けると、ヒスタミンが放出されます。

ヒスタミンが皮膚の毛細血管に作用すると、血液成分が血管外へ漏れ出して皮膚にミミズ腫れ、ブツブツ(膨疹)や赤み(紅斑)が生じます。

これを蕁麻疹と呼ぶ場合がほとんどです。

また、皮膚に存在する神経に作用してかゆみを生じます。蕁麻疹のかゆみが表面ではなく、皮膚の奥からかゆみが湧いてくるような感覚があるのはこのためです。

 

<蕁麻疹の原因は何?>

蕁麻疹の原因は、疾患例の7割で不明であると言われています。

疲労やストレス、感染など、さまざまな因子が複合的に作用して症状が顕れます。

この因子には蕁麻疹の原因としてわかっているものもあります。

(例:アレルギー)例えば、普段は食物のアレルギーがない人でも、ストレスや疲労に苛まれている状態で、アレルギーが生じる食物(甲殻類など)を食べた時に、蕁麻疹が発生したりします。

 

上に挙げたアレルギーのように、蕁麻疹の原因としてはっきりわかっている残りの3割について、以下にその例を列挙します。食品、薬剤があります。

 

【食品】

・そば、えび、かに、果物など(アレルギー

・鮮度の落ちた青魚(蕁麻疹の原因となるヒスタミンを多く産生する)

・豚肉、タケノコ、香辛料、防腐剤、人工色素など

 

【薬剤】

・抗生物質

・解熱鎮痛剤

・降圧剤(一部)

 

食物に関するアレルギーがあると明確に分かっている場合は、それが直接的な蕁麻疹の原因になることがあります。

しかし、アレルギー性ではない他の食物や薬剤の場合は、上にも書いたように、健康状態やストレスとの関連で、その食物を摂取した場合に蕁麻疹が発生する可能性があるということです。

 

<蕁麻疹を誘発する他の要因は?>

 

他にも、明確な原因がない場合でも蕁麻疹を誘発する様々なケースがあります。

皮膚のこすれ、寒冷や温熱、日光、圧迫などです。

これらそれぞれが過剰になると、蕁麻疹を誘発する場合があります。

また、入浴や運動、精神的緊張にともなう発汗も原因となる場合があります。

また上にも書いたように、精神的なストレスや疲労が蕁麻疹を誘発する下地になることがあり、それらを含めた体調と関連した皮膚疾患であることは間違いありません。

 

このように、誘因が明らかでない蕁麻疹を特発性蕁麻疹と言います。

この特発性蕁麻疹は毎日のように自発的な症状が顕れる場合があります。

特発性蕁麻疹のうち、発症して1ヵ月以内のものを急性蕁麻疹、1ヵ月以上持続するものを慢性蕁麻疹といいます。

 

<蕁麻疹の治療法は?>

 

アレルギーなど特定の刺激により症状があらわれる蕁麻疹では、特定の刺激を避けることが最重要です。

蕁麻疹の原因が不明で、自発的に症状があらわれる蕁麻疹では、基本的に薬物治療を行います。

 

薬物治療では、蕁麻疹の直接的な原因であるヒスタミンの作用を抑える薬が用いられます。

一つ注意したいのは、ヒスタミンの作用を抑える薬を服用すると眠気が起こり、注意力や集中力が散漫になることがある点です。

 

また、蕁麻疹の特徴として、皮膚の奥からこみ上げるような強いかゆみがあります。これをかいてしまうとと一時的にかゆみが軽減するものの、そのかきむしりによって物理的な刺激が与えられ、結果的に蕁麻疹の範囲が広がりかゆみが増強します。

蕁麻疹のかゆみを止める確実な薬はありませんが、かゆいときは冷やすなどの処置が有効だと言われています。

 

<蕁麻疹は予防できる?>

 

蕁麻疹は、その発生要因の多様さから、具体的に予防するのは難しい皮膚疾患です。

具体的なアレルギーがある場合は、それを確実に避けるのが第一でしょう。

それ以外の場合は、蕁麻疹の発症リスクとなるストレス、疲労などを減らした節度ある日常生活が重要かもしれません。

 

・過度の飲酒

・生活上のストレス

・不定期な生活リズム

・疲労

・睡眠不足

・軽微な感染症(風邪など)

 

これらの要素は蕁麻疹の発症リスクとなる可能性を秘めており、日々の健康に留意する他に原因不明の蕁麻疹を予防する策はないのかもしれません。もちろん、これらの状態は必ずしも避けられるわけではないので、こういった状態にある場合は、蕁麻疹を引き起こすリスクのある食物や行動(激しい運動による発汗)などを避けることが重要ではないでしょうか。

 

<蕁麻疹に関するまとめ>

蕁麻疹はその直接的な原因がはっきりしない、特発性蕁麻疹が7割を占めているのは上でも述べました。

原因がはっきりしている場合でも、どちらにせよ、ヒスタミンの作用を抑える薬は市販薬にはありません。

蕁麻疹の症状自体は、他の皮膚疾患とは異なる皮膚の盛り上がり、皮膚の奥からこみ上げるような強いかゆみがあるため、比較的わかりやすいと思います。

蕁麻疹が発生した場合は、急性アレルギーの可能性も考え、速やかに医療機関を受診することを勧めます。