胆石症について


主にコレステロールが引き起こす「胆石症」、その症状やその治療法とは?

胆石症の概要を知る!

胆石症とは、胆のうに石のようなものが発生して痛みを伴う症状を呈する病気です。
一般的には胆のうに発症しますが、胆管や肝臓に発症する場合も少数ですがあります。

胆石の発生は胆のうの機能に起因します。

胆のうは、胆汁と言われる消化液を一時的に貯蓄し、濃縮する働きをもっています。
消化の際にこの胆汁を胆管に押し出して消化を手助けする役割を果たしていますが、生命維持に不可欠な働きをしている臓器ではありません。

胆汁にはコレステロールや胆汁酸が含まれていますが、食生活や生活習慣のバランスが乱れたりしコレステロールの割合が増えると、胆のうの粘膜にある蛋白物質と結合しやすくなります。



この結合が重なって、俗にいう胆石となるのです。
これを胆石の種類の中でコレステロール胆石と呼んでおり、一般的な胆石の発生要因としては一番の割合となっています。

胆石症の症状とは?

発生した胆石自体が有害というわけではなく、発生した胆石の物理的な作用によって身体に様々な影響が生じます。
単なる物質なので健康面の影響を与えない場合もあり、この場合の胆石は無症候性胆石と言われ、発生したからといって直ちに治療や手術が必要になるわけではありません。

では、発生した胆石が物理的に影響を与える場合、どのような症状が主となって顕れるのでしょうか。

まずは、胆石が体内の神経・粘膜などに強く接触することによる痛みです。
胆石の発生箇所、移動する経路によって様々ですが、一番多いのは右のあばら骨の一番下(右季肋部)の痛みだと言われています。
他にも背中、肩、みぞおちなどに痛みが出る場合もあります。
痛みだけではなく、だるさや吐き気などといった症状が顕れる場合もあります。

他にも、胆のうで発生した胆石が胆のうの出口に詰まると、黄疸を引き起こし、皮膚や白目の部分に黄色が強く出てくるような症状も見られます。

胆のうが詰まり雑菌が溜まったりすると、結果として胆のう炎になって胆のうを摘出する手術が必要になる場合もあり、単に胆石症と言っても結果として顕れる症状は様々です。


胆石症はどうやって判明する?

上にも挙げたように、胆石症からくる具体的な症状は、かならずしも原因が限定されるような症状でありません。
一番多いのは右のあばら骨の一番下(右季肋部)の痛みと説明しましたが、これは骨の痛み(骨折等)や臓器の疾患による痛みとも共通する部分があります。

ですから、痛みや違和感を感じた時点で病院にかかり、結果として原因(胆石症)がわかる場合がほとんどです。

これは類推にはなりますが、これまでの健康診断などで臓器系の異常がなく健康で、特に骨を痛めるような外傷性のショックなどが近況にない場合は、胆石症の可能性があるかもしれません。
ただ、胆石の有無は当然肉眼でわかるはずもなく、やはり病院での検査が必要となります。

胆石を検査する方法としては、現在では腹部の超音波検査が主流となっており、これはほとんどの胆石を見つけ出すことが出来ます。胆石を発見した後は、CT検査やMRI検査で治療方針を定めたり、他の箇所に胆石がないかと言った副次的な検査を行う場合があります。

これによって胆石の発生箇所や数、大きさが明らかになり次第、治療のフェーズに移行します。

胆石症の治療はどのように行う?

古くは薬に依る溶解治療、開腹手術に依る胆のう摘出術などが行われていました。
現在では、腹腔鏡手術なども取り入れられていますが、一番メジャーな治療法は体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)です。
胆石の大きさや発生箇所などを前節で挙げた検査法で判断し、適切な治療法を選択します。

体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)は、胆石のみならず尿管結石や腎結石の粉砕にも広く取り入れられている治療方法です。

体の外から、衝撃波を結石に繰り返し当てることで、結石を細かく砕き、破砕された結石を体内に排出させる治療法です。
利用する施設や設備によって異なりますが、概ね治療は1時間程度で終わり、治療後すぐに日常生活・職場への復帰が可能です。

胆石症を予防することはできる?

胆石症の発症自体を効果的に予防するのは難しいかもしれませんが、胆石症で一番の割合を占めるコレステロール結石については、体内にコレステロールを溜めない生活をすることによって相対的に発症する確率を下げることが出来るのではないでしょうか。

人間の肝臓の働きのひとつに、コレステロールの代謝があります。
コレステロールは、非水溶性のため、一部は胆汁の中に溶け込ませて肝臓外に排出します。
胆汁の中のコレステロールと胆汁酸のバランスが崩れると、コレステロールが結晶化して胆石のもとになります。

このコレステロールの結晶が胆嚢粘膜から分泌されるムチンというたんぱく質により結合し、コレステロール結石となります。

体内にコレステロールを溜めない方法の一つとして、食生活の改善が考えられます。
コレステロール値の高い人の傾向として、肥満傾向があります。
肥満傾向の食生活を改善するという方向でも効果があるでしょう。

まず、エネルギー(カロリー)の過剰摂取を防ぎます。
特定の食材や栄養素に寄せることなく、取りにくいビタミン・ミネラル類のバランスを考慮した食事を心がけましょう。

特に、食物繊維は胆汁酸の再吸収を抑制する効果があり、コレステロールを低下させる効果があるので、積極的に摂取していきましょう。また、エネルギーのバランスだけではなく、その質にも気を配ることが重要です。

特に、脂質については、動物性よりも植物性の脂質のほうがコレステロールが低い傾向にあります。

また、単純にコレステロールが高い食品として、
飽和脂肪酸を含む食品(バター・マーガリンなど)や、トランス脂肪酸(スナック菓子など)を含む食品、動物性の内臓(レバー・ホルモン)や卵(白子・魚卵)などが代表的です。

こういった食品は旨味が強く、嗜好性も高いためつい口にしてしまいがちですが、単に胆石症を予防するという観点ではなく、健康な食生活において欠かせない注目点ですので、心に留めておきましょう。

胆石症に関するまとめ

胆石症は、発見から治療までのプロセスが安全なレベルで確保されている疾患であり、しっかりと医療機関で対応を取れば問題なく治療することが出来ます。

上にも書きましたが、胆石症における注意点は、初期症状が他の疾病・疾患と似たような場合が多い点です。
右のあばら骨の一番下(右季肋部)の痛みが主症状として顕れますが、筋肉痛や骨の痛みと混同する場合があります。
また、胆石の発生箇所によっては倦怠感や吐き気がする場合がありますが、これは内科系の疾患と混同されがちです。

どちらにせよ、胆石は医療機関での対応以外でその症状が緩和することは疾患の性質上考えにくいので、上記のような症状が継続するようであれば、まずは医療機関を速やかに受診しましょう。