C型肝炎について解説します!


【C型肝炎とは?】

C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎です。
ウイルス性肝炎には他に、A型肝炎やB型肝炎があります。C型肝炎については、古くは非A非B型肝炎と呼ばれていたこともあります。

現在の日本のC型肝炎ウイルス (HCV) 感染者数はおよそ200万人と言われています。HCVに感染すると、そのうちの約70%の人が持続的な感染者となり、慢性肝炎や肝硬変、肝がんといった慢性的な疾患へと進行する場合があります。

【C型肝炎の感染経路は?】



C型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルス同様に、非経口感染がその感染経路になっています。

C型肝炎ウイルスは主に、血液を介して感染します。感染している人の血液が他の人の血液の中に入ることで感染しますが、空気感染や経口感染はありません。
ピアスや入れ墨、覚醒剤摂取における不衛生な針の廻し打ちなどが、現代における具体的な感染ルートです。

こういった感染ルートはB型肝炎と共通する部分がありますが、大きな違いとして、母子感染(垂直感染)や性行為による感染リスクはB型肝炎に比べると低いということが挙げられます。

日本においては、現在新たに感染する患者数は比較的少なく、その患者の多くはC型肝炎ウイルスが発見される前の輸血や血液製剤、あるいは注射針が使い捨てになる前の注射針の使い回しなどで感染したものと考えられています。

具体的には、

・1992年以前の輸血

・1994年以前のフィブリノゲン製剤

・1988年以前の血液凝固因子製剤

について、HCVウイルスのチェックが不十分だった可能性があります。

【C型肝炎の診断方法は?】

C型肝炎の検査も、B型肝炎等と同様に血液中のウイルス検査で行われます。C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査は、HCV抗体検査です。

詳しくは割愛しますが、HCV抗体陽性の場合は、1度はHCVに感染したことがあるということになります。

続いて、治癒しているものなのか、持続感染しているかをHCV核酸増幅検査(HCV-RNA定量検査)という検査で判断することになります。
この検査で陽性の場合は検査時点でも感染している(≒持続感染)ということになります。

【C型肝炎の症状、治療法は?】

急性肝炎の場合は別にしても、C型肝炎も他のウイルス性肝炎同様に、慢性肝炎の初期段階ではほとんどの場合自覚症状がありません。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、軽微なダメージでは自覚症状が少ないのです。

初期感染を過ぎた時点で、血液検査にて各種測定結果が正常化、またはHCV-RNAが陰性となってC型肝炎ウイルスが排除される場合があります。
この場合は治癒となりますが、上述のように、感染者の70%ほどは持続感染に移行します。

この持続感染のまま症状が進行する(慢性肝炎の状態が続く)と、肝硬変の状態に移行し、最終的には肝がんへと至る可能性があります。

C型肝炎の治療法については、直接HCVを排除する抗ウイルス療法(直接作用型抗ウイルス薬、DAA)が用いられます。
B型肝炎の抗ウイルス療法と比べると、直接的にウイルスを排除することが可能であり、高い治療成果が証明されています。

具体的には、テラプレビル、シメプレビル、バニプレビルといった薬を、ペグインターフェロン、リバビリンと併用する3剤療法が一般的になっています。

治療効果の確認は、上述の血液検査にて再度HCV-RNA量を測定して行います。

【予防法含めた、C型肝炎に関するまとめ】

予後が直接肝がんに移行する可能性のあるB型肝炎に比べると、明確な治療法(3剤療法)があり、予後が直接肝がんに移行しないという点でC型肝炎は多少リスクの低い疾患とは言えるでしょう。

しかし、感染後の肝硬変移行のリスクなどが低いわけではなく、感染予防の予防接種用ワクチンが開発されていないという点では特有のリスクがあります。