B型、C型肝炎に比べるとなじみが薄い?A型肝炎について解説します!


【A型肝炎とは?】

A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)が原因のウイルス性肝炎です。

ウイルス性肝炎には他にもB型肝炎やC型肝炎がありますが、これらの肝炎とは異なり、基本的に重症化し肝硬変・肝がんといった症状に移行することがほぼ無い点です。
名称が似ているだけに混同しがちですが、比較的重症化するリスクの少ない疾患といえます。

A型肝炎ウイルス(HAV)は全世界に分布しており、感染力は比較的強いのがその特徴です。
特に、患者の発生数と居住環境の衛生状態には関連性があります。

日本のような上下水道が整備されている先進国での発生は少ないものの、衛生環境の劣悪な地域では蔓延することになります。

ウイルスの潜伏期間が2~7週間と幅がある上に期間が長いので、直接的な原因を突き止めにくい面があります。
ただ、日本国内での感染例はそれほど多くなく、海外旅行などで感染しウイルスを国内に持ち帰り、潜伏期間を経て発症するというパターンが多いようです。

【A型肝炎の感染経路は?】



非経口感染のB型肝炎・C型肝炎と異なり、A型肝炎は経口感染によります。

主に、感染者の糞便を介した経口感染で、糞便に汚染された器具による調理や、汚染された手指で触れた食物等を経て感染します。

ウイルスに汚染された水や野菜、魚介類などを生や加熱不十分なまま食べることによっても感染が起こります。
日本においてはカキの二枚貝のような、貝類によるケースが多いようです。

 

【A型肝炎の診断はどのように行う?】

A型肝炎の診断は、他のウイルス性肝炎同様に血液中のウイルス検査で行われます。

一般的には血清中のIgM型HA抗体により確定診断を行いますが、感染初期には約5%が陰性と診断されるといったデータもあります。
またIgG型HA抗体が治癒の指標となります。

【A型肝炎の症状、また治療法は?】

 

口から侵入したA型肝炎ウイルスは、消化管で吸収されて血流に乗り、肝臓へと到達します。

HAVウイルスに感染すると、2~7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られます。
数日後には黄疸が現れることもあります。

潜伏期間を経て、上述のようなA型肝炎の症状があらわれます。注意したいのは、肝炎の発症以前でも、感染者の糞便中にはA型肝炎ウイルスが排出されているため、他人に感染させる原因となり得ることです。

A型肝炎には特別な治療法はなく、対症療法が中心となります。
症状を緩和しつつ、安静にし治癒を待ちます。
劇症化することがまれな疾患ではありますが、治癒が確認できるまでは注意が必要でしょう。

 

【予防法を含めた、A型肝炎に関するまとめ】



感染ルートが明確なことから、A型肝炎は積極的に予防することが可能です。
基本的に国内で感染することは稀と言えますが、貝類はしっかりと加熱することで万が一のリスクを回低減することが可能でしょう。

基本的にA型肝炎のリスクは、海外への旅行で発生します。

衛生状態が担保されていない国へ旅行する際は、事前に予防接種をすることをお勧めします。
ワクチンは2~4週間の間隔で2回接種します。
約半年後に3回目の接種をすると免疫が強化され5年間は有効といわれているため、予定がある場合は早めの接種が重要です。

 

またワクチンを摂取していない状態で海外旅行へ行く場合は、その地域の衛生状態(上下水道)について事前に調べておくと良いでしょう。
厚生労働省検疫所のウェブサイトや、外務省の渡航情報サイトなどを確認しましょう。

衛生状態の良くないところでは、生水、氷、生肉、生野菜などにウイルスが付着している可能性があります。
具体的には、ミネラルウォーターや一度沸騰させた水、加熱調理してある食物を選びましょう。