痛風の合併症


痛風の合併症

高尿酸血症は、これといって症状が現れないと、ついつい治療を怠ってしまいがちです。

しかし尿酸値を高いまま放置していると、合併症を併発しやくなります。

合併症とは、1つの病気に関連して起こる別の新しい病気のことですが、痛風は糖尿病と並んでさまざまな合併症を起こしやすい病気の1つです。


糖尿病

糖尿病患者は、痛風を合併しやく。また逆に痛風があると糖尿病も併発しやすいものです。

これはお互いに代謝異常による病気だからです。

糖尿病は、血糖を調節するインスリンが不足して、高血糖が持続し、いろいろ障害がでてくる病気です。

尿酸値と血糖値の間には相関関係があります。すなわち、尿酸値が高い人は血糖値も高く、血糖値が高い人は、尿酸値も高い傾向が見られます。

糖尿病は、発生すると一生つきあっていかねばならない病気です。
糖尿病は、遺伝的要素も関係していますが、過食や運動不足に肥満の後天的要素が大きく影響しています。

肥満になると、エネルギーとしてあまった脂肪が内臓にたまってしまい、インスリンの働きを妨げます。また運動不足はインスリンの働きそのものを悪くしてしまいます。

その結果、糖の代謝に異常をきたしてしまうのです。

高血圧症

高血圧症は、糖尿病についで痛風患者に併発します。
これは痛風患者には、肥満体が多いため、動脈硬化が進行して発病します。

高血圧症は、遺伝的な要因のほか、肥満や塩分のとりすぎ、飲酒、ストレス、運動不足などが原因で起こります。

WHOの基準値によると最高血圧が140mmhg以上、最低血圧が90mmhg 以上で両者またはどちらかが高い状態をいいます。

高血圧になると、血管の壁にかかる圧力が強くなるため、血管の壁が傷つき、そこからコレストロールや中性脂肪などが入り込むために動脈硬化を起こしやすくなります。

痛風と高血圧症の両方をもっている方は、サイアザイド系の薬剤は使用できません。

是非病院で相談してください

高脂血症

痛風患者は、高カロリーやお酒を多くとるので高脂血症になりやすいです。

高脂血症とは、脂肪が血液中に増えすぎてしまった状態を指します。

動脈硬化を招きやすい病気です。

血液検査の値でいえば、血中の総コレステロールが220mg/dl以上、または中性脂肪が150mg/dl以上の状態です。

とくに痛風と合併して起こる高脂血症の場合、総コレステロール値はそれほど高くないものの、中性脂肪の増加が目立ちます。

痛風患者の場合動脈硬化を予防する善玉コレステロールが減少している人が多く、そのため動脈硬化が促進され、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患、脳梗塞などの血管障害を起こしやすいので注意が必要です。

心筋梗塞、狭心症

心臓の血管が動脈硬化をおこし、血液の循環が悪くなり心臓の働きが悪くなると、狭心症・心筋梗塞を起こします。

最悪の場合死亡することもあります。

これらの病気は、虚血性心疾患といいます。
虚血性とは、心臓に十分な血液がいかなくなり、障害を起こします。

尿酸値が高いほど虚血性心疾患が増えると言われています。

とくに痛風発作をおこした人は心臓発作も一般の人比べて2倍の頻度にみられた報告があります。
痛風患者で高脂血症のみられる人は、このような心臓病の病気になりやすくなるので注意が必要です。

脳梗塞

脳にも動脈硬化がおこり、広い意味では脳血管障害と呼ばれています。
症状は、頭痛、めまいのほかに手足のしびれやマヒが見られます。

ひどい場合は意識がなくなり、死亡することがあります。
検査として、まず脳CTやMRIを行けることをお勧めします。

尿路結石

腎臓でできた結石が尿管を経て膀胱に落ちていく過程で尿管に詰まる現象で激痛と血尿を伴います。

痛風患者の約10~30%に尿路結石がみられます。

痛風患者が尿路結石になる率は健康な人の数百倍ともいわれています。

結石が見つかった部位の位置で腎杯結石、腎盂結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石といいます。

尿酸の結石は、尿量低下、尿中の尿酸量の増加、酸性尿の環境でできやすくなります。

このため、十分な水分をとり1日の尿量2000ccを確保し食事や薬で尿をアルカリ性に傾け弱酸性にします。

腎障害

尿酸の結石が腎臓を傷つけます。

尿酸の結晶は、腎臓の組織に蓄積して腎機能を低下させます。

腎機能が低下すると尿酸の排出がうまくできなくなり尿酸値はさらに上昇し、腎機能はますます低下するという悪循環を引き起こします。

このような痛風によって起こる腎障害を痛風腎といいます。

腎不全・尿毒症

腎障害を放っておくと腎不全になります。腎不全により血液のろ過や老廃物の処理ができなくなると、老廃物が体内にたまって全身が中毒症状に蝕まれます。

これが尿毒症です。尿毒症になると尿の量が減り、顔色が士気色になってむくみが生じます。
場合によっては死に至ることもある恐ろしい病気です。