足白癬とは?その概要を知る
足白癬とは、その名の通り足に生じる白癬の症状です。
白癬は皮膚糸状菌という真菌(カビ)によって生ずる感染症で、皮膚糸状菌によって起こる病気は日本では白癬、黄癬、渦状癬に分類されています。
しかし現在黄癬、渦状癬は日本にはありません。
また、白癬を起こすカビという意味で、皮膚糸状菌を白癬菌と呼ぶこともあります。
その白癬の代表的なものは足に生ずる足白癬で、俗称として水虫とも呼ばれています。
足白癬はどのような症状?
足白癬の症状は、主に3つのパターンに分類されます。
・足の裏に小さな水膨れが生じ、水膨れが破れると皮が剥ける小水疱型(汗疱型)
・足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたりする趾間(しかん)型
・ヒビ、アカギレのように足の裏全体が硬くなる角質増殖型
角質増殖型は稀なパターンで、患者のほとんどが小水疱型か趾間型の足白癬です。
足白癬の初期症状として、
・足の指の間や足の裏がかゆい
・足の指の間がふやけて白くなっている
・足の指の間や、足の裏の皮が剥ける
・足の裏に小さい水疱ができる
以上のような症状があります。
これらの症状が毎年夏になると生じて、秋になると自然に治るというな場合であれば、足白癬の可能性が高くなるでしょう。
あくまで季節的な変動があるというのが重要で、季節を問わずこうした症状がある場合は、足白癬ではない別の皮膚疾患の可能性が疑われます。
足白癬に季節的な変動がある理由は、足白癬が細菌性の皮膚疾患であるからです。
夏が過ぎて秋になると白癬菌の増殖が止まるため、その数が減ってきます。
白癬菌は角層の下にまで増殖しないと、痒みや水膨れといった症状を起こさないので、白癬菌が少なくなると治ったように感じるのです。
つまり、冬には白癬菌が少なくなって症状が出なくなっているだけであり、白癬菌は残っています。
その白癬菌が残っていると、春から夏にかけて高温多湿の季節になるとまた白癬菌は増えて足白癬の症状が出てくるといった流れです。
また、足白癬は必ずしもかゆみをともない皮膚疾患ではなく、かゆみがあったからといって足白癬と考えるのは早計です。
逆に、かゆみのような自覚症状がない場合でも、足白癬である場合があるので、足白癬の発症しやすい箇所に皮膚の異常があった場合は、かゆみの有無を問わず医療機関での診断を受けるのが望ましいです。
足白癬は他の人に感染する?
足白癬は感染する皮膚疾患です。
主に間接的に白癬菌に接触することで感染します。
例えば、温泉場や銭湯、あるいは足白癬患者がいる家庭の足拭きマットには、ほぼ100%白癬菌が存在します。
入浴後にそのようなマットを利用すると、白癬菌が足に付着します。
そのまま素足でいれば、足が乾燥し、足に付着した白癬菌は基本的に剥がれ落ちますが、一つの例として、白癬菌を付着したまま靴下や靴を履き続けると、長時間白癬菌が足に付着して足白癬になってしまう場合があります。
さらに、そうして足白癬になった人が、今度は家庭内の足白癬の感染源になり、家庭内の床やスリッパなどに白癬菌をばらまくことになります。
このようにして、広く感染が広がる可能性を秘めています。
足白癬はどのように治療する?
皮膚の角層に感染した白癬は、抗真菌作用を有する塗り薬を使って治療を行います。
珍しいケースではありますが、角層がかなり厚くなっている角質増殖型の足白癬の場合は、飲み薬を飲まないと治りません。
飲み薬は足白癬に限らず全ての白癬に有効ですが、副作用や他の薬剤との飲み合わせの問題があるなどの欠点があります。
足白癬では、自覚症状がない部分も含め、指の間から足の裏全体に、最低でも4週間ほど抗真菌作用を有する塗り薬を塗布する必要があります。ただ、角質増殖型以外の通常の足白癬の場合、この抗真菌薬の外用でかならず症状が改善されるため、塗布を続けても症状が収まらない場合は、足白癬でない可能性があります。
足白癬はどのように予防する?
家庭内に足白癬患者がいる場合、同居していれば、足白癬になる可能性は高くなりますので、まずは家庭内の足白癬患者や爪白癬患者を治すことが最優先課題です。
家族内感染を防ぐためには、スリッパやサンダルの共有は避ける、足ふきマットは別にするといった工夫が必要です。
家庭内に足白癬や爪白癬患者がいない場合は、外から家庭内に白癬菌を持ち込まないことが大切です。
また全般的な予防策として、白癬菌が皮膚内に侵入して感染するまでにおよそ24時間かかるということから、毎日の入浴の際に足を入念に洗浄するというのは有用です。
この時、強く洗いすぎると皮膚を傷つけてしまい、かえって感染を扇ぐ可能性がありますので、しっかりと泡立てた石鹸やボディソープで優しく洗浄するようにしましょう。
足白癬に関するまとめ
足白癬はあまり珍しくはない皮膚疾患ではありますが、実際にかかると完治までは最低でも4週間程度を要するように、厄介な疾患であります。また、周囲へ感染をさせるリスクもありますので、少しでも心当たる症状がある場合は、速やかに皮膚科医を受診することを勧めます。