腎臓病は、国民病、自覚症状のない命に関わる病気
腎臓病は、日本人に増えている病気でのひとつです。
急性の症状が現れて発見されるケースもありますが、多くは自覚症状がなくいつの間にか悪化しています。
高血圧や糖尿病といった腎臓の機能低下を招く病気が増加しており、これも腎臓病患者の増加に大きく影響しています。
腎臓病は私たちにとってとても身近で命に関わる病気であることを知っておきましょう。
腎臓病の原因や経過を前もって知っておけば、いざというとき、適切な対処ができます。
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病とは、特定の病名ではなく、腎機能が慢性的に低下していく状態をしめす名称です。
腎機能低下の原因となった病気の種類にかかわらず、腎臓の状態によって診断されます。
腎臓病には多くの種類があります。
病名や症状が異なっていても、その影響で腎臓の機能が損なわれるという点では共通しています。
腎臓の機能が衰えると、全身に影響が及びほかの病気を招く可能性が高くなります。
そこでも一つ一つの病名にこだわらず、どれだけ腎臓の機能が残っているかという点から
捉えたのが「慢性腎臓病」です。
診断基準は2つ。
1つめは、各種の検査によって腎障害が明らかであること、2つめが「糸球体ろ過値(GFR)」が60ml/分/1.73平方メートル未満であることです。
2つめのうちどちらか、または両方が3か月以上続くと慢性肝臓病と診断されます。
急激に腎機能が低下する場合は、急性腎障害(AKI)と診断される場合もあります。
急激な腎機能の低下により、尿から塔廃物が排出できないことや、体内の水分量や塩分用など調節できなくなっていることを指します。
慢性腎臓病の経過途中で急性腎障害が起こることもあります。
慢性腎臓病の重症度は「原因となった」「肝機能」「たんぱく尿」の3点から判断されます。
一言でCKDといっても、そのもととなっている病気は、様々です。
元の病気のことを原疾患といいます。
原疾患には、急激に腎臓の状態が悪くなる急性腎障害のほかに様々の病気があります。
それぞれの病気の特徴を説明していきます。
急性腎障害
急性腎障害は、腎機能が急激に(数時間から数週間で)低下し、命関わることもあります。
体液や電解質などの小説ができません。
そのため、むくみ、食欲低下、全身倦怠感、けいれんなどの症状があらわれます。
尿の量が極端にへってしまうこともあります。
急性腎障害は、障害の発生する部位で腎前性、腎性、腎後性に分けられます。
急性腎障害は、画像検査(超音波、CT)をおこなうと、慢性腎臓病と比べ、腎臓の腫れや肥大化が見られます。
糖尿病性腎症
糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。
健康な状態であれば、食事して血糖値が高くなると、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが働いて血糖は歳三に取り込まれエネルギーとして利用されます。
しかし、糖尿病の人はインスリンが十分機能せず、高血糖値の状態が続くので、やがて血管の内壁が傷ついてしまいます。
高血糖値により腎臓の血管も障害され、腎臓の働きが低下した状態が糖尿病性腎症です。
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があり、CKDの問題になるのは、おもな原因は2型糖尿病です。
慢性糸球体腎炎(igA腎症)
腎臓は血液をろ過して、人体に不要な物質を尿として体外に排出します。
このろ過の役割を担っているのが、腎臓にある糸球体です。そしてこの糸球体が炎症を起こし、ろ過がうまくいかない状態が長期間持続する病気が慢性糸球腎炎です。
慢性糸球腎炎のなかでも最も多いのがigA腎症で約40%を占めています。
igAとは免疫グロブリンAのことで、腸や気管支の軟膜を病原体の感染から持っている免疫物質です。
igAと病原体が合体して腎臓に流れつくと2~3か月かけて炎症を起こし、組織が破壊されています。
原因は免疫反応の異常と考えられていますがくわしい仕組みはわかっていません。
高血圧性腎硬化症
高血圧が長時間継続すると、腎臓に血液を運び込む血管が動脈硬化を起こします。
動脈硬化によって血管の内腔が狭くなると、腎臓にはいってくる血流量が低下します。
腎臓の糸球体は、豊富な血流が必要なため、血流量が減ると糸球体の硬化や委縮を招きます。
高血圧は、腎臓以外の動脈にも硬化をもたらすので心疾患や脳卒中といった心血管疾患の大きなリスク因子です。
腎硬化症は、とくに初期の場合は、他の腎臓病と異なり、尿検査でもたんぱくが少なく、早期発見しにくいのが特徴です
多発性嚢胞腎
両方の人生に嚢胞が複数できる、遺伝性の病気です。PKDという尿細管をつくる遺伝子の変異により、尿細管の太さを均一に調整できないことが原因です。
尿細管の太さが調節されなくなると、尿細管が拡大して嚢胞が形成されます。
両親のどちらかにこのPKD遺伝子の異常があれば50%の確率で子供に遺伝するという研究があります。
嚢胞は肝臓や他の臓器に発生することもあります。
腎盂腎炎
腎盂は肝臓で作れた尿が尿管から排出される間にいったん集められるところです。
尿道や膀胱から大腸菌などの病原菌が上行し、腎臓に関して炎症を起こします。
尿路の構造上の異常(尿管膀胱逆流症)や前立腺肥大、尿路結石、膀胱炎などの病気、また
免疫力が低下しているときなどにもかかりやすくなります。
一般的には急性腎盂腎炎を繰り替えて慢性に移行します。
悪性高血圧
高血圧緊急症ともいいます。
拡張期血圧(低い方の血圧)が120~130mmHG以上という高血圧状態により、腎機能障害が急激に進行します。
短期間で腎不全、心不全、眼底出血、昏睡などを超すため、すぐに治療を始めなければいけません。
高血圧、降圧治療の中断、長期にわたる精神的、身体的ストレスなどが関係しています。
男性多く30~50歳代に好発します。
60歳以上はあまりみられません
急速進行性糸球体腎炎
糸球体が炎症を起こす病気の一つで、数週~数か月の短い期間に急速に腎機能が低下し、老廃物のろ過ができなくなります。急速に腎不全が進行する。
代表的な原因としては、ANCA(抗好中球細胞質抗体)という自己抗体を持っています。
そのANCAが自己免疫異常を起こし、小型の血管に強い炎症を起こすと考えられています。
毎年1500人~1800人が発症しています。
ループス腎炎(全身性エリテマトーデス)
全身性エリテマトーデス(SLE)とは、全身の臓器に原因不明の炎症起こる自己免疫疾患により発症する腎炎です。
ループス人選は、SLEによって引き起こされ、SLE患者の60~80%がかかいてると推定されています。
若い女性に多い病気です。関節の痛み、光線過敏、皮疹、発熱、口腔内の潰瘍などが主な症状です。
痛風腎
痛風を原因とする腎臓病です。痛風の原因は生活習慣が影響が大きく、プリン体を多く含む食品である肉、魚、甲殻類、アルコール特にビールのとり過ぎが挙げられます。
男性に多い病気です。尿路結石や腎臓結石ができやすく、尿路結石では背中や腹部の痛み、血尿が現れることがあります。
痛風腎が続くと慢性間質性腎炎を起こしてCKDの原因となります。
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